青空の下で輝く青い氷 パタゴニア、辺境の

パタゴニア」. その名を知る人は多いが、どこかと聞かれると答えに窮する人も多い. 30年前も今もなお、そこは「秘境」だ. 南極や北極・グリーンランドの氷床、ヒマラヤやアラスカ、スイスの氷河… . 地球温暖化が話題になり、海面上昇に響く「氷」の観測にも注目度が増してきた. それなのに、パタゴニア氷原の研究例はまだ少ない. なぜなら「アクセスが厳しく、観測も大変だから」と安仁屋政武・筑波大名誉教授(69). 観測に同行して合点がいった. パタゴニアには北氷原と南氷原がある. 両方を合わせ、北海道の倍以上の広さに約80の氷河がある. 北氷原の空撮だけでも4時間かかる. 全域で雲がない幸運は、毎年通っていてもめったに出くわさない. 観光客も行ける氷河がアルゼンチン側にはいくつかあるが、チリ側の北氷原では船で行けるサンラファエル氷河くらい. 近年、山道がついて、エクスプロラドーレス氷河にもなんとかたどり着けるようになった. チリ南部の町、コジャイケからエクスプロラドーレス氷河へ向かった. バスで氷河近くの小さな町まで5時間、そこからさらに車で未舗装道を1時間. 翌日また車で奥へ、歩いて森を抜け、トゲに刺されながらやぶをかきわけ、丘の上にたどりつく. 白い氷はまだはるか向こうだ. 「氷河はあんなに遠い」とつぶやくと、安仁屋さんは「もうそこ」と目の前を指さす. 灰色の岩山が連なっているのかと思ったら、石や砂利が氷を覆っていたのだ. 歩いてみると所々ひびが入っていたり、氷がのぞいたりする. とけ水が流れ出す所もある. 氷河の末端は岩を削り、土砂をまきこみ、氷と一緒に押し出すように流れて来るのだ. 「あそこに川があった」. 安仁屋さんは数年前の写真を手にして比べる. 時には同じ1年でも景色は変わる. 「氷河は生きてるって感じだね」 極地より温暖な所にあるパタゴニアの氷河は、雪がたくさん降って新しい氷ができ、たくさんとけて消える. 変化が激しいのが特徴だ. ただ、大半は小さくなり続けている. 「だから毎年見ていないと」. 後退がしばらく止まっていたかと思えば、また加速し始める氷河もある. サンラファエル氷河へ観光船で向かった. 港から片道5時間、客はチリ人が大半だった. 南北約4300キロの細長い国で、チリ人でさえ訪れる人は少ない. 目の前に迫る高さ70メートルの氷の壁にカメラを向け、シャッターを切る. 「おぉ! 」. 氷が崩れ落ちると大歓声がわいた. 驚いたのは次の瞬間、落ちた巨大な氷が海面からせり上がり、大波が広がり迫って来た. 浮かび上がった巨大な氷山の色に思わず声をあげた. 「こんなに青いの見たことがない.

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